1.はじめに
今年の6月から連載開始してきた、初めてのバイク模型製作編も組立編、塗装編と経ていよいよ最終回。連載を続けてお読みいただいている方、ありがとうございます。また今回が初めてという方は、是非初回からお読みいただきバイク模型製作を楽しんでくれる方が1人でも増えれば、と思います。
今回の連載「初めてのバイク模型製作編」は大詰め。完成も間近です。頑張っていきましょう!
2.タンクの塗装
残りのパーツはタンク、サイドカバー、シート、ミラーです。タンクとサイドカバーの塗装内容は、ほぼ同じなのでここではタンクをピックアップして紹介します。
タンクとサイドカバー両方に言えることですが塗装をしない状態では画像のように光加減で透けます。表面を塗る前に、まず裏側をブラックサーフェイサーで塗りましょう。
画像のように黒く塗り潰します。透け防止もそうですが、特にサイドカバーは反対側から少し裏側が見えるので影を表現する意味でも塗装をします。
裏側を塗装した後は表面を塗装するのですが、なるべく先ほど塗装したブラックに色が入らないように裏側をマスキングします。その際に、マスキングテープを貼った境目にサーフェイサーの跡が残ってしまうのでスポンジヤスリで除去します。
ブラックが少々削れてしまいますが、後ほど筆塗りでリタッチすればOKです。
さて、ここから本番に入ります。と言った矢先に・・・トラブルが発生しています(笑)
ホワイトサーフェイサーを塗装中、モノに当たってしまい色が一部削れてしまいました。こういう時は、まず乾燥を待ちます。
処理後の画像です。随分と削れてしまいましたね(汗)この部分を再度、塗装し直します。
缶スプレーの場合、パーツとの距離を少し放して修正した部分に一点集中で吹きます。一回で色は埋まらないので、乾燥を挟み2、3回吹き重ねます。その時、他の表面はガサガサになりますが気にしないでください。
上手く修正が出来たようです。乾燥後に他の面がザラザラと梨地になっているので、ある程度平らにするために、スポンジヤスリに水を含ませてタンク全体を軽く「水研ぎ」します。
表面がキレイになっていくと、思わぬ発見をすることもあります。私の場合、小さい穴が開いていました。これはスプレーの色が「くぼみ」に溜まってしまい気泡が出来た跡です。
解決策は、パテで埋めるか少し削って再塗装するかです。
今回は穴が深くなかったので、削ってから再塗装することにしました。このくらい埋まれば大丈夫でしょう。
とまあ・・・いきなりトラブルが出てしまいましたがプロになった今でも塗装のトラブルは付き物です。もし何も問題なく一発で上手く行ったら、自分を褒めてあげて下さいね(笑)
修正を重ねてしまったので、パーツを付ける穴の塗膜の厚みが気になりました。ですので一度メッキパーツを仮に付けて様子見。まだ普通に入るようなので、大丈夫です。
完成後に「入らなくなった!」とならないよう、マメにチェックを。
次の工程に入ります。今回のモンキー125のタンクは2トンカラーなのでキットには専用のマスキングテープが入っています。
付属のマスキングテープはタンクの形状に合わせたガイド付きなので、それを目安に大体合わせます。貼る位置は画像を参考にしてください。
合わせ目消しでタンクの中心が分かりづらい場合は給油口の「くぼみの内側」に合わせ目が残っているので、それを目安にしてみてください。
最後に前方からラインの位置関係を確認。大体、左右対称であれば問題ないですね。納得したら残りの部分をマスキングして塗装に備えます。
さて、ここで +αポイント!! です。境目のラインをよりキレイにするやり方です。
例えば今回の場合
・マスキングテープをカットしたけど、境目がヨレてしまってキレイに切れなかった。
・マスキングテープの位置決めで何回も貼り直したため、粘着が弱くなって浮いてしまう。
等々あると思います。
モンキー125の場合は、色の境目にシルバーラインのデカールが入るので多少、境目が歪になっても隠れるので問題はありませんが「やっぱりキレイに仕上げたい!」という方にお届けします。
用意するのは細切りのマスキングテープです。
先ほど貼ったマスキングテープの境目の部分に細切りを貼ります。なるべく隙間を作らないように。
これで終わりです。同じ作業を繰り返すので、少し面倒に感じるかもしれませんがその分ラインはキレイになります。
モンキー125では完成後に隠れてしまいますが、後方もキレイにライン一本で繋がります。他のキットでも有効な手段なので、機会があれば試してみてください。
注意事項としてマスキングをする時に、くぼみ部分をしっかりと貼ってください。よくあることですが、ここが浮いてしまって隙間から色が入ることが多いです。
キャメルイエローを吹いている時に、またしてもトラブル!少し多めに吹いてしまったため、色が垂れてしまいました。
ある程度であれば、乾燥後にヒケて目立たなくなるケースもありますがここではそれは叶いませんでした。
ここも同じようになっていますね~。缶スプレーでの塗装が久しぶりのせいか、今回はスムーズにいきませんね。でも失敗例もあった方が逆に良いのかな?(笑)
では直しましょう!
修正の仕方は、ホワイトサーフェイサーを塗装した時とほぼ同じです。吹きすぎて段差が出来た部分を平らにするために、周辺をスポンジヤスリで水研ぎします。
平らにした後は再度塗装です。距離を取って削った所に一点集中、少しずつ乗せていきます。
その代わりに周りが凸凹になりましたが、乾燥後に全体にもう一度吹きます。
最後にもう一吹きしました。ある程度凸凹が解消されたので、これで完了にします。
やれやれ・・・。
塗装してから2時間くらい置いた後、マスキングを剥がしました。修正をしてしまったので、その分塗膜が厚くなって境目がより毛羽立っていますね。
おまけに漏れましたね・・・あれだけ注意喚起した「くぼみ」の所にも。修正をしつつ、境目の毛羽立ちも処理をします。
境目の毛羽立ちはフィニッシングペーパーで撫でるように削ります。ペーパーの角が塗装面に刺さらないように注意して作業をしてください。
研磨作業をしていると画像のように「削り粉」が他の塗装面に付いてしまうことがあります。
「またマスキングして塗装をしなければならないのかぁ~」と思った方『大丈夫!』簡単に除去する方法があります。
それは・・・
消しゴムです!はみ出た塗料がミスト状に薄い場合は「消しゴム」で消すことが出来ます。
ただ研磨していることに変わりはないので、下地の色まで削れることがないように注意!なかなか取れない場合は「こびり付いた」可能性もあるのでその時は仕方ありませんが塗装でカバーしましょう。
今回は消しゴムで修正が出来ました。また、塗料がはみ出た部分も何とかヤスリ処理で消えてくれました。
しつこいかもしれませんが、この時点でもメッキパーツがスムーズに付くか確認を。
さて境目の処理を終えたものの、ヤスリで削った跡が残ってしまいます。見た目も良くない…。ということで・・・
クリアーは透明な塗料で、塗装面の艶出しと保護によく使います。実車のようなピカピカに仕上げたい時、決め手はこのクリアーなのです。
ちなみにクリアーシリーズは「つや消しクリアー」や、ピカピカとつや消しの中間の「セミグロスクリアー」があります。
クリアー塗装後の画像です。2.3回塗り重ねました。ヤスリの傷跡が消えて表面がピカピカになっていますね。実車バイクのタンクは大体ピカピカしているので、クリアーを使えば視覚効果は絶大です。
たまにホコリが付く場合もありますがクリアーで保護しておけば、研磨時に下地を侵さないというメリットもあります。
ホコリが付いたら乾燥を待って、その後に撫でるようにスポンジヤスリで削り落として再度クリアーを吹きましょう。
クリアー塗装前と塗装後の比較図を掲載しておきます。参考まで。
クリアーを塗装後、時間が経つと徐々にヒケて画像のように多少の梨地になります。これを解消して更にピカピカにするには、「コンパウンド」を使って磨きます。かなり地味で時間がかかる作業になりますが、効果はその労力に見合う仕上がりとなります。
ちなみに模型誌の作例で見られるピカピカに仕上げられた塗装面はコンパウンドで磨かれて仕上げられているのがほとんどです。
今回はそのコンパウンドで磨いて仕上げました。そのまま吹きっぱなしにするか少し手間をかけて磨いて完成度を上げるかは作り手次第です。
塗装が終わればパーツを付けていきます。最終的にメッキパーツは、クリアーを吹いたら奥まで入らなくなっていました。
接着の際は、取付け穴の内部の塗膜を削り落として対処しています。
給油口も取り付け。給油口の中心部は、エナメルのメタリックグレーで筆塗りをして仕上げています。
これまで主にタンクを見てきましたが、サイドカバーも同時進行で進めていました。ここまで来れば、後はデカール貼りです。
デカール貼りも終了したタンクです。色々な角度の画像を載せるので、貼る時の参考にしてみてください。
サイドカバーも完了した画像です。鍵の部分は向きに注意して貼ってください。
バイク本体にそれぞれ付けました。あとはシートとミラーのみになりましたよ!完成まで、もう少しです。
3.シートとミラーを取り付けて完成
シートはゴム製。最初は画像のように、ブラックサーフェイサーで表面に色を付けた状態にしてキレイに仕上げたかったのですが・・・
シートの一部を少し曲げたら、ヒビが入って割れてしまいました。これはイカンなぁ・・・ということで初心者向けの今回の製作編ではシートを無理に加工せずに、素材そのままの状態で進めていきます。
割れた塗膜をキレイに除去した後、縁の部分はエナメルの「フラットホワイト」を筆塗りしました。
乾燥後はシートを「ハイグレード模型用セメダイン」で接着。シートをあまり曲げないようにして慎重に固定しました。
シートを固定した後にデカールを貼ると、位置を合わせやすいです。シートはこれで終了。
最後にメッキを落とした部分にブラックを塗装したミラーを付ければ、モンキー125の完成です。角度に注意して付けて下さい。
ということで、自己紹介編も含め計8回と長期連載してきたモンキー125製作、いかがでしたか?
今回は初心者の方を対象に、私なりの製作方法をなるべく詳細に紹介してきましたがこの内容が全て正解と言うわけではなく、あくまでも方法の一部です。やり方は人それぞれなので、自分なりの製作の仕方でプラモデルを楽しんでみて下さい。
また画像のように上手く作れないと思う方もいると思いますが最初から作品のクオリティを求めず、まずは完成を目指してください。製作の技術は経験を重ねると自然に身に付くものなので、焦らずジックリとそして「モノ作り」の楽しさを、プラモを通じて堪能してほしいと思います。
この製作編をご覧になり、バイク模型に興味を持って頂けるキッカケになれば幸いです。
4.モンキー125完成画像集
最後に、今回製作したモンキー125の完成画像を掲載いたします。参考にしてください。
以上になります。最後まで読んで頂きありがとうございました。