モデラーさんの作業部屋拝見

セガワモデリング 瀬川たかし様/模型の楽しみ 模型に生きる【後編】

【オラザク・ディオラマ部門銅賞受賞】

第 17 回全日本オラザク選手権ディオラマ部門銅賞「Crimson Comet」

ずっとあこがれていた誌面のコンテストで入賞。忘れもしない 2015 年の 11 月、ホビージャパンさまより小包が届いた。そこには入賞でいただける限定キットと、オラザクコンテスト掲載誌面、入賞のお知らせが入っていて、玄関先で腰を抜かした。

まさか自分が!?うれしさと感動で震えた。

誌面を拝見して再度震えた。これが人生初の誌面掲載作品だった。ホビージャパンさまが主催されているオラザク選⼿権では賞金がいただける。超ベテランモデラー方々の審査、評価はうれしいものだが、賞金が発生することで気持ちが引き締まったことが新鮮だった。

大好きな模型を作って、評価いただいて、お金をもらうことができた。この経験が今後の人生を、模型との付き合い方を大きく変えていく。

【もっと模型でお仕事がしたい!】

翌年の第 18 回全日本オラザク選手権でも受賞させていただいた。 本作品から「テーマ」「メッセージ性」のコンセプトをより具体的に考え、 制作と撮影に臨んでいたことを覚えている。

「模型を作ったらお金がいただけた」それはもちろん予定されていたお仕事ではないし、報奨金、賞金という扱いなので、今思えばとんでもない勘違いではあったけど、大きなモチベーションにつながったことは、今の起業や事業に至る、大きなきっかけだった。

当時は趣味ベクトルでしか「模型」を捉えていなかったので、「模型のお仕事」といえば、模型誌面の花形、ライターさん、店舗さまのディスプレイモデルくらいの発想しかなかった。しかし決しておごるわけではないけど、あのホビージャパンさまで、昔からあこがれだったオラザクで受賞いただいた!ひょっとしたら自分でもそういった「模型のお仕事ができるかもしれない」そんな浅はかな思いで動き始めた。

ここから「模型をお仕事にしたい」営業活動が始まる。一般的には模型店、ホビーショップ、ホビー誌の出版社さまへお伺いして、直接お願いする、というのがセオリーだったのかもしれない。しかし瀬川の場合、受賞を経て自信があったにもかかわらず、技術や発想的に上には上がいる、ということもまた、誌面を⻑年拝見することで、思い知っていた。

さらに自分は“復帰組”で、プロとして勝負をするにもブランクがある。決して自信がないわけではないけど、同じ土俵で勝負をしたところで、必ずしも仕事につながるとは考えにくい・・・そこで思いついたのは「模型業界以外の業界で、模型のお仕事を探してみよう」ということだった。

とはいえ、いきなり企業さまをドアノックしても相⼿にされないどころか、ご迷惑になってしまうかもしれない。

そこで大好きな秋葉原の街で、画板に受賞作品を乗せて歩き回っていた。まるで昭和時代の特急列車の傍らで、お弁当を売っているかのように、板を水平に構えて、模型作品をその上に置き、街を歩き回る。

かなり異質な光景だったと今は思い返すが、すれちがう方々にはほぼ目に留めていただける、信号待ちでは多くの方々に声をかけていただいた。

サブカル系のビジネス異業種交流会にも積極的に参加した。2015 年頃は異業種のクロスオーバーがトレンドで、そういったイベントや機会は探すことに事欠かなかった。

【とある本屋さんとの出会いと中国での模型活動】

中国・上海で開催の FIGUP コンテスト審査員。

営業活動からご縁いただいたのは、秋葉原にある「とらのあな」という本屋さん。当時はサブカル系の芸能部門「AKIBAPOP ; Dojo」を新設なさる、ということで、もろ⼿を挙げて参加した。至らぬながらの模型教室やジオラマ教室を展開させていただきながら、様々な機会に恵まれた。

月刊モデルアートさまとのご縁をいただいたのも、とらのあなさんへの所属がきっかけだった。ここから「模型のお仕事」が一気に加速していく。夢のような毎日だった。

特に 2016 年の海外では「アキバ文化・オタク文化」が大人気で、アキバ文化に造詣のあるアーティストを招く形をとりながら、ACG(アニメ(Anime)、漫画(Comic)、ゲーム(Game))と呼ばれる、2次元カテゴリのイベントを開催、サブカル文化の輸出がトレンドになっていた。

広州で開催のイベント「FireFlyACG」開催のポスター。

私もおかげさまで広州と上海を中心に、2016 年は毎月のように中国へお伺いし、ジオラマ教室にモデリングのデモンストレーションと、舞台に立たせていただいた。世界の模型事情を肌で感じる、貴重な機会だった。

【模型のお仕事で法人化】

セガワモデリング塗装制作 1/12 スケールガンダム2体。ガンダムカフェTOKYO BRAND CORE.

とらのあなさま、モデルアートさまをはじめとして、お仕事のお話をお世話いただいた方々へのお礼を申し上げたら、枚挙にいとまがない。画板にプラモデル作品を並べて歩き回っていた秋葉原から数年、「いつか模型のお仕事を継続していけたら」というぼんやりとした夢は、おかげさまで確実に具体的に形になっていった。

デンソーワイパシステムズさま、ヒストリカルギャラリーへ納品したカーモデル。

2018 年頃からは、メーカーさまオフィシャルのお仕事はじめ、規模や金額的に大きなお仕事のお話もいただく機会が増えてきた。そこで「法人化を」という提案をいただき、「株式会社セガワモデリング」の法人登記が完了した。

法人化にあたって、損得を抜きにした思いが1つある。それは後世、模型という趣味を延⻑させて職業にできないかと、同じようなことを考えるモデラーが増えた際に、模型は趣味であると同時に、夢を追いかけながら生活を成立させることができるのだと証明したい、その前例として伝えていきたい、という思いだった。

たとえば小学校などでよく聞かれる「しょうらいの夢」ケーキ屋さん、スポーツ選⼿、警察官等、名だたるあこがれの職業が声高らかに発表される中、「モデラー」「模型作家」と書いている少年少女を見聞したことがない。なぜなら、子どもは幼いながらも本能的な分析を行っていて、趣味は趣味、趣味でお金をかせぐ、経済的に成立させることが難しいことを知っている、もしくは周囲に「模型で生活を成立させている大人がいない」からに他ならない。

モデルとしての大人、職業としての認識が広がらない限りは、模型は趣味のままだし、模型で生活を成立させることができたとしても「あの人は特別だから」と、普遍的な職としての認識は広がらないだろう。もちろん模型は趣味、趣味だからこそ、気楽にのんびり取り組めることは、この上ない魅力だ。

しかし模型という趣味は特殊技能のカタマリであることもまた、模型業界以外でお仕事を探していたときに強く感じた。模型は突き詰めたら突き詰めるほどそれは技術であり、工芸であり、デザインであり、クリエイティビティであり、プロダクティブでありと、じつにさまざまな「ビジネス側面」の可能性を感じさせてくれる。

「模型を作る」という行為=目的には、楽しみ方の底が見えない。自分のイメージを実現させるために、幅広く、より深く模型を楽しむために、興味の向くまま情報収集のアンテナを高く張り、新しい技術の習得、新しい道具の使い方やワザあり!情報を収集する。その結果心血を注いで作った新しい製品=作品を展示会でご覧いただき、評価を求める姿勢は、企業研究そのものではないか。

また、現在は SNS と通信技術が進歩していることもあり、上記の探求に加えて多角的なコミュニケーションが加わって、より感情的、情熱的、精神的な探求も可能になった。モデラー同士で SNS 交流し、サークルを作り、動画の配信を通して共創する。

志同じくした仲間と時間を共にすることで、模型を媒体とした人生を謳歌する。最初はみんなばらばらだった、爪切りやハサミで模型を作り始めた個々が、情報社会で集合し、より充実した趣味で創り、発信し、お互いのセンスを享受しあって、活動を楽しむ。

こんなにもパワフルなポートフォリオが「趣味」で収まるはずがない。その可能性を追いかける、後世に伝えるためにも法人格が必要で、そのために作った法人は、より快適、かつ充実した楽しみの実現を提案・提供するために、役立てる。

「楽しいを、創ろう」それが私の夢であり、模型の楽しみ方であり、法人を作った理由であり、ビジョンだ。もちろん弊社、セガワモデリングはまだ駆け出しの企業で、おかげさまでお仕事はいただいていても、では大企業さま方々のような福利厚生が実現しているかというと、そこまでの企業力はない。だからこそこれからが楽しみと、前向き、前のめりだ。

【模型は、自由で楽しい】

瀬川のアトリエ。思いきり楽しみ、創り続ける。

模型には説明書がついていて、説明書に沿って作れば完成する。慣れてきたら自分ならではの作風、色を塗ってもいい。ケガに気をつけながら改造するのも楽しい。オリジナリティあふれる作品、ディテールまで実機そのもの!渾身の模型作品を持ち寄って、仲間と語れば時間がいくらあっても足りない。

はじめまして!2度目まして!な顔見知りでも、模型が⼿元にあれば、会話に花が咲く。模型から⼿を取り合い、個々から集団となり、企画、イベントの開催と、さらに模型の世界が広がっていく。

模型は言語の壁、文化の壁を超える。模型を⼿にすることは、世界と⼿を取ることと同義。模型にはあらゆる角度からの向き合い方と、可能性がある。

爪切り1本から始まった模型ライフ。今は株式会社として、新しい可能性と楽しみを模索させてもらえることに、模型文化にはいくら感謝しても足りない。感謝は貢献でご恩返しさせていただければ、もっと新しい「模型は楽しい!」を提案させていただければ。その思いで瀬川は今日も模型を作る。「熱中できることは楽しいから。楽しくて仕方がないから!」今なら不動産時代お世話になった社⻑からいただいたこの言葉の意味が、理解できる。

最後に

ミネシマのベビーニッパー

今愛用しているのは爪切り、ではなくミネシマのベビーニッパー。手になじむ。作っているのはレベルの 1/35 ウニモグ。迫力満点なシルエットで、作っているだけでワクワクする!

⻑文にお付き合いいただいたことに感謝を思うばかり。本当に徒然勝手ばかりな内容で恐縮だけど、お伝えしたいことは1つで「模型は気楽で楽しい自分の世界」

今の模型用ニッパーは安価なものでも性能が良く、使いやすい。「ちょっとプラモデル、やってみようかな。」と模型店やホビーフロアへ足を運ぶきっかけとなれば、甚だ幸いと思う。

大好きな音楽を聴きながら、時にはおサケを片手に模型を眺めて、仲間、友人と語らいながら。思うままに自分だけの、楽しいを創りましょう!

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瀬川たかし

瀬川たかし

瀬川たかし。1980 年生まれ。株式会社セガワモデリング代表取締役。上海、ドバイなど国際模型コンテストのジャッジを務める。ジオラマ教室は世界各国で 190 回以上開催、参加はのべ 3800 人以上。制作依頼は国内外を問わず、作品は情景模型として仕上げることが多い。「ガンプラテクニックバイブル改造・ジオラマ編」作例製作・監修。
瀬川たかし

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