ミニカー コレクター × カートイワークス

第四弾 B級ミニカー アリ地獄 フカイデス

カートイズミーティング × カートイワークス  コラボ企画第 4弾

B級ミニカーアリ地獄にようこそ

カートイワークス&カートイズミーティングのコラボ企画第 4弾です。今回のテーマは「B級ミニカー蟻地獄」です。トミカやホットウィールなどメジャーなブランドのミニカーは所謂黒本と呼ばれるバリエーションガイドブックやプライスガイドが発行されており、バリエーションやおおよその価値を知ることが出来ます。しかしB級ミニカーと言われるディープな世界があるのです。
何時何処のメーカーが作ったのかもわからない、価値が無いから誰も調べようともしない、そんなミニカーの魅力に吸い寄せられ迷い込むと、いつしか迷宮のように抜け出せなくなってしまう恐ろしい症状「B級ミニカー蟻地獄」の世界を今日は垣間見てみましょう。

B級ミニカーの雄 ジルメックスのケンメリ

ジルメックス ケンメリ セダン

ジルメックス、ジートーイ、時期により色々な呼び方をされる香港製のB級ミニカーブランドが有ります。写真のケンメリ スカイラインセダンはそんなジルメックスの製品です。近年はアオシマや京商の精密なケンメリセダンが入手できますが、昔はこれしか無かったのです。

ジルメックス ケンメリセダン

京商のケンメリセダンと並べてありますが出来栄えは比べるのが可愛そうです。しかしワイン色のジルメックスからは「どうだ、俺がケンメリセダン以外の何かに見えるか?」という主張のオーラが伝わりませんか? 全く感じないとしたら、あなたは正常です。でもこのジルメックスのケンメリが何か気にかかるなら、あなたも B級ミニカーの迷宮に迷う込む素質を持っているかもしれません。

スカGじゃなくてコロG

ジルメックス コロナ 2000GT

ジルメックスをもう一台。写真の黄色いコロナはジルメックスのコロナ2000GTセダンです。銀色の固体は見慣れたトミカのコロナですが、こちらは 2ドアハードトップです。今を去る 1970年代後半、改造車の世界で絶対的に巾を利かせていたスカイラインに対向して「俺はスカGじゃなくてコロGだ!」と言う方が少なからずいらっしゃいました。そうした方は、4ドアセダンこそコロG本来の姿と言ってはボクシーなコロナを巾広ホイールで渋く決めていました。

ジルメックス コロナ 2000GT

写真の黄色いコロGセダンはジルメックスの希少性を知らなかった頃の執筆者によってチョロQホイールに換装されています。大人の渋みを感じさせるコロGの魅力が香港の方にも伝わったのでしょうか。

トミカじゃなくて アサヒのケンメリ

アサヒ ケンメリ 比較

写真のケンメリスカイラインですが、オーバーフェンダーが付いていない 2台はアサヒのケンメリです。トミカの世界ではオーバーフェンダーが無いケンメリは絶版品として重宝されています。このアサヒのケンメリはトミカと似ているため、トミカファンを一瞬だけ喜ばせるのですが、裏面を見てトミカでないことがわかると「なんだよ、コピー品か!」と失望を誘います。しかしアサヒはコピー品では有りません。良く見るとサーフィンラインのあたりがとても良く出来ています。

アサヒ ケンメリ 比較

GT-Rと違う小さなフェンダーにギチギチに収まった後輪が当事街中を普通に走っていたケンメリを思い出させます。なんでもコピー品と決め付けないで良く見てあげて下さい。 B級ミニカーには彼等なりの美点があるのです。比較においた白いケンメリGT-Rはタカラのストラクチャーモデルです。これもホイールをホットウィールに換装しています。

当時は有名メーカーコピーミニカーも

910 ブルーバードSSSターボ

 写真の 910ブルーバードはトミカのコピーです。赤いのはトミカのブルーバード SSSターボですが、他の二台はトミカのコピーです。ウレタンバンパー装備の 910には有りえないメッキバンパーですが、ブルバックを仕込んだワイドなホイールがトミカより精悍です。

910 ブルーバードSSSターボ

比較用に置いたトミカのブルターボはホイールをアオシマに換装しています。こうしたコピートミカは近年では見つからなくなりました。トミカコレクターには見る価値も無いコピートミカですが、トミカのバリエーションを見つけるより、コピー品を見つけてコピー元を探り当てるのが楽しくなってきたら、あなたも立派な B級ミニカーコレクターです。

マイナー仕様もラインナップ

ヤトミング  ホットウィール シルビア  比較

B級ミニカーのもう一方の雄、香港ヤトミングのシルビアです。トミカの S11シルビアがハードトップなのに対して、ヤトミングはハッチバックです。ボンネットにはガゼール風の印刷が施されています。トミカに無い仕様を補完してくれるヤトミングは B級ミニカーコレクターには外せない重要なブランドです。

ヤトミング  ホットウィール シルビア  比較

白いシルビアはホットウィールの日産 200SXです。こちらはボンネットが開いて非力な Z20エンジンが見られます。ドア開閉出来るトミカに対して、ボンネットが開くホットウィール。こうした違いを見つけるのは B級ミニカーコレクターには嬉しい出来事です。最もホットウィールは B級ミニカーとは呼べないほど偉大なブランドですが。

よく似た版権モノ

ジョニーライトニング マッハ号 比較

写真のクローム色のマッハ号はジョニーライトニングです。ボンネットが開く希少なマッハ号です。イマイのプラモデルと開き方が違うのは言いっこ無しです。
さて白いのはホットウィールなのですが、何だか様子が違います。マッハ号はゼッケン 5番のはずですがゼッケンは 6番です。これはホットウィールのセカンドウィンドゥという車種でマッハ号では無いそうです。一時は世界中のフェラーリミニカー版権を手中に納め、他社の版権侵害にうるさかった天下のマテルも昔はこんなパチモン スレスレ商品を出していたのですね。

ジョニーライトニング マッハ号 比較

後にマテルはスピードレーサーというスチャラカ映画の版権を取ります。これにはゼッケン 6番のマッハ号モドキが出演します。セカンドウィンドゥは 30年程、時代を先取りしていたのですね。

本物が出来るのはいつの日か

ケナー KITT ナイト2000 比較

 写真のナイトライダーはケナーのK.I.T.T.です。比較に置いたのは見慣れたキャラウィールのK.I.T.T.ですが、妙に長いのが番組放送当事 米ケナー社から発売されていたK.I.T.T.です。ボディサイドには劇中車には無かった "KNIGHT2000"のロゴが入っています。ケナーのK.I.T.T.はいくら何でも長すぎるのですが、眺めているとナイトライダーのテーマが脳裏に流れてきます。今にも「マイケル!起きて下さい」と話しかけてきそうです。番組放送当事の B級ミニカーはどうしてそうした魅力があるのでしょうか?

ケナー KITT ナイト2000 比較

 今ではケナーのK.I.T.T.は B級とは呼べないほどのプチプレミアが付いているそうです。自分だけが見つけた B級だと思っていたら人気者になってしまって寂しい、と思うあなたは重度の B級ミニカー蟻地獄症候群かも知れません。

貴重なプラモも B級ラインナップ

フジミ フェラーリ 330 GTC  ランボルギーニ エスパーダ   フジミ マセラティ ギブリ ランチア フルビア

 さらにディープな B級ミニカーの世界に参りましょう。写真の模型はフジミのプラモデルです。フジミのプラモデルなんざ其処かしこの模型店に山積みだという声が聞こえます。これはフジミが半世紀ほど以前に発売していたトミカサイズのプラモデルです。車種はフェラーリ 330GTC 2+2、ランボのエスパーダ、マセラティギブリ、ランチア フルビアです。トミカサイズのプラモデルといえばスーパーカーブーム華やかかりし頃にアオシマとイマイから発売されていましたが、フジミの製品はそれらより更に 10年程古いです。車種構成がそれを裏付けています。330 GTCは今もって京商からすら模型化されていません

フジミ フェラーリ 330 GTC  ランボルギーニ エスパーダ   フジミ マセラティ ギブリ ランチア フルビア

エスパーダがベルトーネ ジャガーピラーナに見えると言う声が聞こえます。 B級ミニカーにそんな高尚な出来栄えを求めてはいけません。 B級ミニカーコレクションの真髄はメーカーがどの車種を狙って模型化したのかを探し当てることにあるのです。メーカー毎に味があるからこそ奥が深いのです。現代のミニカーは京商もオートアートもケースから出してしまったらどのブランドかわからなくなってしまいます。各社が出来栄えを競った挙句、ブランドの個性が失われてしまったのです。何千円も出してなんとつまらないことでしょう。

あのガチャガチャのチープミニカー

コスモス Z31 フェアレディ300ZX

 写真のフェアレディ Z300 ZXはコスモスのトミカサイズミニカーです。コスモスは 1970年台にガチャガチャのオモチャを供給していたメーカーです。現代のガシャポンは数百円ですが、当時のガチャガチャは 20円カプセルでした。少年達は 10円玉を握りしめて、狙ったスーパーカー消しゴムを夢見てガチャガチャのハンドルを回したものです。20円ガチャガチャのカプセルにトミカサイズミニカーは入らないと言う声が聞こえます。どうやらこれはカプセルから当たりクジが出ると店頭で貰えた、当選品だと思われます。

コスモス Z31 フェアレディ300ZX

直線定規で描いた様な Z31ですが、V6ターボのシールが無かったら車種がわかりません。青い方はオリジナルですがスポイラーが欠品しています。白い方は私が何とか当時のチューンドカー風にしようと、あちこち改造ましたが、チープミニカーの域を出ることは有りませんでした。

こんなモノを集めるようになると、もはや B級ミニカー蟻地獄の底に達して、蟻地獄の主に食われるのを待つのみという末期症状です。

ここが B級ミニカーの原点?

駄菓子屋 プラモ R381

写真の日産 R381プロトタイプとトヨタ 7は、メーカー不明の駄玩具です。1960年台の駄菓子屋には、50センチ角くらいの台紙に小さな子袋に入った極小プラモデルが数十個貼り付けて売られていました。お店のオバちゃんに十円か二十円を払って、台紙から外してもらう購入方式です。

駄菓子屋 プラモ R381

この R381とトヨタ 7はトミカより小ぶりな 1/72スケール程度の大きさです。駄玩具には珍しく透明部品が有ります。二台は素組みですが、R381の 1台は塗装を試みました。しかし、またまた出来栄えが駄玩具の域を超えることはありませんでした。ちなみにこの駄玩具は相当のプレミアが付いていて千円で購入しました。ふと思うと子供の頃の二十円も現在の千円も、一日に使う小遣いの上限額という意味で同じです。今も昔も貧乏に変わりないことを思い知りました。
 最早ここまでくると B級ミニカー蟻地獄に落ちて蟻地獄の主に食われるだけの状態から、逆に蟻地獄の主を倒して自分が蟻地獄の主に収まったような、来るところまできてしまったような、妙な満足感が漂います。

さあ!B級ミニカーの世界にようこそ

B級ミニカーの世界はさらに深く未知の世界が広がっていますが、今回はこれくらいで区切りとしましょう。綺麗なケースに収まった傷一つ無いミニカーや、希少価値が云々される高価なミニカーだけが、コレクションの対象とは限らないのです。 B級ミニカー蟻地獄にはまったコレクターは未だ見たことも無い B級ミニカーとの出会いを夢見て、日夜リサイクルショップやフリマで蠢いているのです。あなたもそんな B級ミニカー蟻地獄に是非はまって見て下さい。そこには深海のように深く、異性の心のように未知な B級ミニカーの素晴らしい世界が広がっているからです。

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カートイズミーティング  ×  カートイワークス  コラボ企画

第一弾 愛しのジャンクミニカー

第二弾    魅惑のキャラクターカー

第三弾    奇想天外ミニカーカスタム術

第四弾    B級ミニカー アリ地獄

第五弾    スロットにハマり抜け出せない

第六弾    ミニカーは可動するから面白い <前編>

第六弾    ミニカーは可動するから面白い <後編>

 

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静岡県浜松市で毎週水曜夜にミニカー談義に花を咲かせているコレクターさんの集まりです。CTWスタッフもおじゃまさせて頂いています。毎年恒例となっている「カートイズミーティング イン ハママツ」という即売会やショッピングモールでの遊べるミニカーイベントなども企画され、全ての世代に向けてミニカーホビーの楽しさを伝える活動を精力的に行っています。
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